One STEP
自分の気持ち
もやもやと心の中で様々な思いが彷徨っていた。
ハッと気づいて辺りを見渡せば、さっきまでのたくさんの野次馬はいつの間にかいなくなっていた。
まったく…何が楽しくてやっていたんだか。
やっといつもの教室の空気に戻ったことに、あたしはホッと息をついた。
周りからありえないほど視線を注がれる、という人生初の出来事に緊張の糸がぷつりと切れた。
「寺原先輩と何話してたのー?」
いつの間にか入学してすぐ友達になった、琴子があたしの席の前に座っていた。
琴子とは好きな物がたくさん合ったため、すぐに打ち解けることができた。
あたしよりも背が低い、とても笑うとエクボがくっきりできる可愛い子。
あたしは琴子の言葉に「うーん…」と唸り声をあげる。
決心したはずなのに、今更ながら考えてしまう。
どうしよう…今のうちに曖昧にしないままちゃんと断っておけば良かったかなぁ?
ヘタに期待させちゃったかなぁ?
今更思っても遅い。
しかし後悔は後からするものである。