One STEP
「はいっ!」
「ははっ、元気そうだね」
…だって初めての慎也先輩からの電話だったんだもん。
なんて、もちろん言えない。
だからあたしは気づかれないように「今日はすいませんでした」と、そっちの話題に持ち込もうとした。
先輩の笑い声が聞こえる。
あたしはベットの上で正座中。
どうしてこんなに緊張しているんだろう。
「ねぇ先輩…リノアはユウヘイが好きなんですよね?」
あたしも…慎也先輩が好き。
今、こんな弱いあたしでは言えないけど、いつかちゃんと強くなれたら…この言葉を口にしてもいいですか…?
慎也先輩と話しているだけで心が落ち着く。
ドキドキと心臓がウルサイ。
先輩は何も思っていないかもしれないけど、こんな些細なことがかなり嬉しいんですよ。
知ってますか、先輩?
…些細なこと?
あたしは何か、引っかかるものを感じた。