One STEP
先生は「言ったからには後悔しないで頑張って」そう言葉を残し、去って行った。
慎也先輩と弥生先輩は手を取り合って喜んでいた。
あたしはどうしてもこの感情を抑えることができなくて何も考えずに飛び出した。
「先輩…っ!」
先輩たちは驚いたように目を見開いている。
今このあたしの顔を見れば、聞いていたということは分かるだろう。
あたしは必死で涙を拭く。
泣くのは、まだ早い。
「か、香澄ちゃん…」
「聞いてた…よね?」
あたしは正直に小さく首を縦に振る。
そんなあたしを見て、先輩たちは困ったように目を合わせた。
胸が温かくなる、この気持ち。
先輩たちに、あたしは大事なことをちゃんと言わなきゃいけない。