One STEP
ラストのスパイス
『ユウヘイが好き…彼女がいるって知ってるけど、諦められない』
『どうしてユウヘイなの?!あなた邪魔なのよっ!!』
ドンっと押される体。
あたしは大袈裟に尻餅をついた。
――パンパンッ。
乾いた体育館に響く音。
あたしは顔を上げた。
「うんうんかなり良くなってる!凄いよ香澄ちゃんっ!!」
弥生先輩は興奮しながらそう言う。
あたしは嬉しくて、顔を綻ばせた。
「大丈夫?」
そう言って、手を差し出してくれる美空先輩。
あたしはその手をしっかりと握った。
緊張はやはりする。
けどあの言葉を聞いてしまったからには、あたしはなんとしてでも上手くならなきゃいけない。
みんなで、頑張るんだ。
良いモノを作ってみせる。
言葉だけでは終わらせない。
そう思えば思うほど奥底からわいてくる力。
これを一気に出してやる。