One STEP



朝も授業中も放課後も夕食の時もあたしは悩みまくって悩みまくった。


だが答えが出てこない。



リノアが泣く場面だから泣かないといけないんだろうけど…どうやればいいの…?



泣き真似なんて器用なことをしたことがないあたしにとっては凄く難しい。



「う゛ー」



あたしは腕を組んで椅子に座ったまま唸り声をあげる。


そんなあたしを変な物でも見るような目で琴子は見ていた。



「最近ずっと唸ってない?ってか眉間にシワ寄ってばっかし」



にゅーっと眉間を摘まれる。


ちょっと痛くて、あたしは顔を顰めた。



「やめてよ。あたし本気で考えてるんだからぁー」



「何悩んでんの?教えてよ」



面白そうに聞いてくる琴子を睨みながらも、あたしは悩んでいることを素直に話した。



「うーん…それは悩むね」



絶対バカにされると思ったけど、琴子は真剣に悩んでくれた。


琴子の眉間にもシワが寄る。



あたし達は2人して眉間にシワを寄せている。


周りから見ればケンカと思うかもしれない。



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