One STEP
「でしょ?どうやって泣けばいいわけ?」
「どうやってって聞かれても。あたし泣きなさいとか言われて泣いたことない」
そりゃ普通はそうだ。
まさか弥生先輩がそんなこと言うなんて思わなかった。
けどきっとそれだけ本気なんだろう。
やはり感動を誘うのは涙。
やっぱりなんとかしてあたしが泣かなければいけないよなぁ。
「も゛ー…どうすりゃいいんだよぉ…」
あたしは頭を抱えて机に突っ伏す。
そうなあたしを見て、琴子は小さくため息を吐いた。
「なるようになれって感じじゃない?練習なんてできないだろうから、本番でなんとか頑張ってみるしかないでしょ」
なるようになれ…か。
「なるようになってくれれば、それが1番いいんだけどね…」
「ってか3日後なのにそんなんで大丈夫なわけ?」
そう。
いつの間にか文化祭まで残り3日になってしまったんだ。