One STEP
「ボーっとしてるね?」
「あはは、ごめん」
あたしはどうすればいいんだろう。
琴子の顔を見るとかなり楽しみなんだろうな、っと思うほどのk-らを放っている。
ここの演劇部がどれだけの実力を持っているのか分からない。
なあなあなのかもしれないし、賞を取ったりするほどかもしれない。
凄いんだろうか?
見てみたいとは思う。
映画や演劇などを見ている最中に寝る人がいるけれど、あたしは最初から最後までしっかり全部見る人だ。
琴子は「この紙貰っていい?」と、あたしにお願いしてきた。
もちろん返事はオーケー。
琴子はそれを嬉しそうに生徒手帳に挟んでいた。
そんなに寺原先輩のファンなのか…。
「でさ、香澄は演劇部入るの?」
「まさか!あたし人前に出るの苦手だもん」
その格好で?って琴子は笑う。
あたしは言葉に詰まった。
う゛…確かに周りはそう思うのが普通だよね。
でも違うんだってばっ!! ってことを伝えようと思ったけれど、それを言ったところでどうにもならなさそうだったから諦めた。