One STEP



あたしはもう一度、そっとポスターに触れる。



現実味がない。


ますで夢の世界に迷い込んでしまったような、フワフワした感じ。




「俺が死んだら悲しむ?」




唐突に。


先輩はそう言って、あたしと向き合った。




「…え?」



訳が分からなくて首を傾けるしかないあたし。


先輩は真顔であたしを見つめたまま。




〝俺が死んだら悲しむ?〟




どういう…意味?


先輩が…死ぬ?



考えた。


…ゾっとした。



誰に起こるかは分からない。


今目の前にいる人が、明日にはいなくなっているかもしれない。




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