One STEP



「それじゃあ全員揃ったところで発声練習から始めようか!」



慎也先輩が明るい声でそう言う。


みんな一斉に頷いた。



今日が始まる。


あたしの大事な日が。



「表情が硬いわね。そんなんで発表できるわけ?」



「うー…美空先輩ー…」



ガッチガッチだ。


余裕なんてこれぽっちもない。



どうして先輩たちはそんなに余裕なんだろう?


これが慣れってやつなのかな?



「笑いなよ、泣きそうな顔なんてするんじゃないの。今まで頑張ってきたんだから大丈夫」



先輩たちはいつもそう。


とても優しい言葉をかけてくれる。



だから勇気が出る。


頑張れる。


あたしの源。



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