One STEP
今まで頑張ってきた。
初めてのことに挑戦してきた。
辛いこともへこたれずに乗り越えてきた。
きっと、大丈夫。
あたしはできる。
そう何度も言い聞かせる。
そうすると少し落ち着いてきた。
開演時間は刻々と近づいてくる。
あたしは何度も時計を見た。
あぁあぁ…あの針が逆周りでもしてくれればいいのに…。
だが時間は前にだけ進む。
あたしも時の中の1人だ。
「それじゃあそろそろ行こうか」
慎也先輩の声があたしの中で響く。