One STEP
シンクロする心
あたしはなんちゃって制服を身にまとっている。
靴下はみんなで統一するため、ちゃんと紺のソックスに履き替えた。
準備オーケー。
いつ始まっても大丈夫な状態で待機中。
あたしは大きく深呼吸を繰り返す。
ドキンドキンとウルサイ心臓。
緊張して、手のひらが汗ばんできた。
あたし達は今、ステージの袖にいる。
幕が閉められていて、どれほどの人数がいるのか分からないけれど、ザワザワと騒がしいから人が大勢いるのは間違いないだろう。
きっと文化祭だけあって、この前よりもたくさんの人がいる。
震えてしまわぬように、あたしは必死で自分を抱きしめた。
大丈夫、大丈夫…たくさんたくさん練習してきたんだもん。
大丈夫。
あたしは1人じゃない。
「大丈夫」
不意にそう言って、慎也先輩はあたしの体を引き寄せた。
先輩に抱きしめられる形になったあたし。