One STEP
大好きな先輩
「うわぁぁぁ…っ!!!…っ、うっぐ…」
あたしは先輩に抱きついたまま大泣きした。
先輩はあたしをなだめるように、優しく背中を擦ってくれる。
またその手が優しくて優しくて。
この手は反則。
「先輩…うっう…
あたし…先輩のことが、好きです…うぐっ…」
ちゃんと言えた。
自分の正直な気持ち、ちゃんと先輩に伝えることができた。
先輩は小さく笑った気がした。
抱きしめられているから顔が見えない。
何で泣いているのか分からない。
気づいたら止まらなくなっていた。
「ありがとう…俺も好きだよ」
そう耳元で囁かれた。
余計に涙が出てきた。
この涙は一体何に対しての涙なのか分からなくなってしまった。