One STEP
なんだろう、この気持ち。
気持ちいい。
こんな爽快感は初めて。
透き通る。
青空のような、涼しい風が吹き通ったような感覚にあたしは身を委ねた。
「かすみーんっ!!!」
夏沙先輩があたしに抱きついてきた。
あたしは慎也先輩から腕を離して夏沙先輩と向き合う。
夏沙先輩も泣いていた。
「うっ…夏沙感動したよぉーっ…あれは反則!かすみんのバカ…!上手じゃないのー!!」
そう言ってデコピンされた。
痛くて顔を顰めると、先輩はいつもみたいに可愛い笑顔で笑った。
あたしも自然と笑顔になっていた。
なんて気持ち良いんだろう。
1つのことをやり遂げるって、こんな気持ちになるんだね。
初めて知ったこの気持ち。
どうしてもっと早く気づかなかったんだろう。