One STEP
こんなにも、楽しくてワクワクして、ドキドキするようなこと、たくさんあるはずなのに。
遣り通すということは、とても凄いことでとても難しいということを知った。
同時に、こんなにもドキドキと心臓がうるさくなることを知った。
たくさん知った。
たくさんたくさん。
知らなかったこと、たくさん知ることができた。
「香澄ちゃん、かなり良かったよ…やっぱり香澄ちゃん主役にして良かった…」
弥生先輩も涙目だった。
そっか…。
あたし上手くできたんだ。
先輩たちに後悔させなかったんだね。
なによりもそれが嬉しい。
良かった…。
「良くやったじゃん………香澄」
「美空先輩…」
先輩は恥ずかしそうにそっぽを向いた。
あたしは面白くて笑ってしまった。
呼び捨て、これ2回目なのに。
笑うあたしを見て、先輩はあたしを睨んだ。
けどすぐ笑顔になった。