One STEP
先輩が恐いなら部活なんて入らなければいい。
そうすればなんの関係もない。
自ら先輩との関係を作る理由が分からない。
あたしは面倒くさがり屋だ。
自らそんな苦しい思いをしに部活なんて入るわけがない。
あたしはそんなの絶対嫌だ。
「あたしは友達の気持ちなんてこれっぽちも分からない。でもね、みんなを見てると思うんだよね」
お姉ちゃんはあたしに視線を移しながら、
「部活って、楽しいのかなーってね」
あたしもお姉ちゃんと一緒の気持ち。
部活なんて入ったことがない。
だからもちろん楽しいのか苦しいのかなんて分からない。
友達の考えなんてイマイチあてにできないもの。
「あたしにはもう、できないことだからさ」
そう、お姉ちゃんは遠くを見つめて呟いた。
まるでそれは、自分に言い聞かせているようにも見えた。