One STEP
「ねぇ、琴子」
「なーに?」
あたしは自分を指差して、
「あたしの声ってエンジェル?」
本気で尋ねてみた。
あたりまえの結果だが、はぁ?と、顔を顰める琴子にあたしは苦笑い。
みんなあたしの声が良いと口を揃えて言うけれど、実際演劇部以外の人がこの声を聞いてどう感じるのか聞いてみたいと思ったから尋ねてみただけ。
当然ながら、生まれてきたときから聞いて出してきた自分の声がどうなのか分からないでいた。
「声がエンジェルって何?どういう意味?」
あたしが分かっていないことが琴子に分かるはずもなく、
「あー…、ごめん。やっぱりなんでもない」
諦めた。