One STEP
どうせなら顔がモテたかった。
声に惚れてもらったって意味がない。
悲しいだけだ。
声がモテても彼氏できないもんさ…。
教室に先生の声が響く。
あたしはそれに耳を傾けることなく、机に突っ伏したままシャーペンを握り締める。
恋は出会い!
出会いが大切なんだから!
早速バイト見つけないと。
時給高いところがいいよね、やっぱり。
結局授業なんてまともに聞かなかった。
グルグルグルグルさまざまな想いが渦巻いて交差して、腹の底に溜まっていく。
ノートに書いたのは黒板の文字ではなく、落書きとも言えない迷路みたいな模様だった。