One STEP
「夏沙ねっかすみんの声好きーっ」
ちゅーっと、あたしの頬にキスをしようとした。
しなったけど。
にゃはは、にゃははっと笑顔を絶やさない夏沙先輩。
胸がホカホカしてくるこの感じ。
やっぱりあの演劇部には変わった人が多いんだろうな、なんて思った。
今まで出会った演劇部の先輩はみんな特徴的だったから。
こういうのを十人十色というんだろうか。
みんなが違う。
同じ人など1人もいない。
みんながみんな個性を持っている。
中途半端じゃない、ちゃんとした自分の個性。
羨ましい。
そう思ってしまった。
あたしもこんなキラキラしてみたい。
ちゃんとした、自分自身から発する個性が…。