One STEP
「可愛くないね~」そう笑う藤田先輩。
…やめて。
そんなキラキラ笑顔をあたしに見せないで。
今のあたしにその笑顔は眩しすぎる。
眩しいからずっと俯いていた。
「おっと。そろそろ時間だ」
時計を見て藤田先輩がそう声をかける。
同時に夏沙先輩の目がキラリンと光った。
「みんな気合入れていくにょお!」
またなんとも可愛らしい掛け声。
頑張るぞ頑張るぞお!なんて、かなりハイテンション。
それを見た寺原先輩がクスリと笑う。
「じゃあ、行きましょう」
歩き出す先輩の背中めがけて、琴子は腹の奥から声を出した。
「頑張ってくださーいっ!」
「ありがとう」
振り返ってはにっこりと微笑んだ寺原先輩。
琴子はほんのりと頬を染めていた。