遥か遠い夜明け

 ケーキの無傷の部分をタッパに詰めて冷蔵庫に保存してやり、床に残った部分を雑巾で丁寧にふき取る。時計に目をやると午前一時を越えていた。

 まだ、一時か。最近は生活習慣などあってないようなもので、時間の感覚もすっかりおかしい。


 掃除を終えると、布団へ向かう。結婚当初、「和風が好き」という修二の一言で私のベッドを購入する案は却下されたが、やはり堂々と万年床でいられるベッドのほうが良かったと思う。

 毛布をかぶり目をつむっても、気分は沈むばかり。ここから2、3時間は眠りにつけないことがわかっているからだ。眠れるまで楽しいことを想像してみたらどうか、と試みたことがあるが、むなしくなるだけだった。
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