あの日の恋
「おう。」
そう言いながらあたしに
笑顔を見せる。
きっと芳樹は可奈の事が
好きなんだと思う。
いつも可奈が呼ぶと
顔を赤くした可奈のこと
あまり見ようとしない。
心の中でいつも芳樹を
応援して来た。
「ぢゃあ放課後二人で
いってらっしゃい!」
そして放課後…
可奈とバイバイして
すぐ第二中に向かった。
「何しにいくんだ?」
「ちょっと人尋ね。」
やっぱりいくら幼馴染でも
痴漢にあったっていいずらい。
お礼って言うと"何の?."って
なるのはわかってた。
「今まで黙ってたけど…
第二中俺の兄貴がいるんだ。」
「お兄ちゃん?…いたっけ?」
小さい頃から一緒にいて
兄弟なんて一度も見た事無かった。
「うん。俺も最近知った。」
「え?」
芳樹は生まれてすぐ、
親が離婚して兄弟別々になっていた。
その母側に兄が父側に芳樹が
引き取られた。
今日まで一緒にいて
芳樹がこんな事になってるのに
全然気付かなくて…
芳樹は辛い顔一つせず
いつも笑っていたと思うと、
すごく胸が痛んだ。