あの日の恋
「いえ!あたしがしたいんです。」
「う~ん。じゃあ…考えとくよ。
だからアドレス教えて?」
「え?」
「決まったらメールするから」
赤外線でアドレスを交換する時
気持ちがすごく舞い上がった。
こんなに直樹に会って嬉しいなんて
自分でも驚いていた。
「じゃあ…メールする。」
そう言って優しく笑うと
手を降り後ろにいる芳樹に
小さく頭を下げて帰って行った。
「なあ…あいつの事好きなのか?」
余韻にひたる中
後ろから肩を掴まれ芳樹の方に
振り返った。
「痛いよ!どうしたの?」
「好きなのか?!」
大きな声で怒鳴られて
嬉しさはどっかへ行き
怒りが込み上がった。
「わかんないわよ!
何なのいきなり?痛いし、
怒鳴るし。」
そう行った瞬間の
芳樹の顔は悲しそうな顔になり
力なく肩から手を離した。
「…そっか。」
「あたし帰るね。」
あの表情が気になったのに
いつもの口喧嘩のように、芳樹を
置いてあたしは家に帰ってしまった。
どうしてあの時ちゃんと
話を聞いてあげなかったのか。
どうして感情に流されたのか
今ではすごく後悔だった。
あの時ちゃんと聞いてたら
皆を傷つけることはなかったのかな…