裂果
「……そうなの?」

「残念ながら」



新川の言葉を聞いた時、つう、と冷たくてきらきらした雫のような感覚が、天音の心の中を流れていった。

それは直感と呼ぶにふさわしいものだと、天音は思う。



「ねえ新川くん」



契約だとか一生だとか、仰々しい言葉に怖気づいていたのがまるで嘘のように、天音の中で決心が固まっていく。

雫が水面に触れて波紋を広げるように、決意が広がっていく。



間違えたなら、新しい正解を探せばいい。

直感で何が悪い。

理論に勝てる直感もある。



「私、契約するよ」



「……正気か」

「正気だけど」

「言っただろ、関わってもいいことなんか一つもない」

「知ってる、でもそうしないと、絶対後悔する気がしたから」



天音がそう言うと、新川は泣く寸前のような、胸が張り裂けそうなほど切なげな顔をした。
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