恋の相手―…*短編集
「…っ。泣くなよ。」
あたしの顔を覗き込んでくる侑希。
「ばか…ばか侑希っ!!」
その言葉を残して、あたしは走った。
ただ、逃げたかった。
なんで謝るの?
謝るなら…なんであんなこと言ったの?
わけわかんないよ。
「林…?」
走るのをやめて、歩いていると突然声を掛けられた。
「あ…留衣(るい)くん。」
その人物は、同じクラスで結構話したりする留衣くんだった。
「なに…泣いてんの?」
「な…泣いてないよっ?」
俯いて顔を見られないようにする。