恋の相手―…*短編集
「なら、顔上げてみろよ。」
そう言われ、ちょっとだけ戸惑ってしまう。
「っ…。ゴミが入っちゃって…。」
途端に思い付いた嘘を言う。
「下手な嘘。」
その言葉を聞いた瞬間、留衣くんがあたしを引き寄せた。
「…え?」
一瞬なにをされたかなんて、わかんなかった。
「ちょ…留衣く…」
「泣け。」
ただ一言。
けど、留衣くんにされても素直に喜べない…。
侑希じゃないとやだよ。
「…なにやってんの?」
留衣くんから離れようとした時に聞こえた愛しい人の声。