恋の相手―…*短編集
「侑希…」
見られた。
タイミング悪い…見られたくなかった。
「…なにやってんの?って聞いたんだけど。」
いつもより低い声で、けど愛しい人の声。
「なぁ…林泣かせたのお前?」
「留衣くんっ!!」
「だったら?だったらなんだよ?」
…っ。
思った以上にその言葉胸にきちゃう。
「…でも。俺は理奈が好きだから。」
…え?
侑希、何言ってんの?
「侑希…?」
「とりあえず、理奈は俺のだから。」
そう言って腕を引っ張ってくる侑希。
留衣くんを残して歩き始める。
向かうのは学校とは逆の方向。
どこに行くのかあたしにはわからない。