向日葵の咲く頃に
火の玉を手にしたまま、姫羅木さんが僕を睨む。

「どこから来た人外か知らぬが、狐霊のわらわがその化けの皮剥がしてやる!」

化けの皮って…化けるの専門の狐である姫羅木さんに、そんな事言われるのは心外なんだけどな…。

この状況下でそんな呑気な事を思い浮かべているうちに。

「わらわの狐火、篤と味わえ!」

何と本当に。

姫羅木さんは火の玉を僕に投げつけてきた!

そのコントロールがまだ凄い。

フワリと女の子らしい勢いで放たれた火の玉は、姫羅木さんの手から離れた途端に突然急加速!

信じられないほどの速度で僕に襲い掛かり。

「ぬ!」

思わず両手で顔を覆った僕の目の前で霧散した。

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