向日葵の咲く頃に
“完全魔術耐性”(マジック・キャンセラー)。

文字通り、魔術が完全に通じない。

勿論、そんな能力が僕に内在していたという事を知ったのは今が初めての事であり。

「もしやお前…わらわの知り合いの魔女が言うておった…えっと…その…完全魔法うんちゃらかんちゃら…」

「完全魔術耐性…ですか?」

千春のフォローに。

「そう!それ!」

正解!とばかりに姫羅木さんは千春を指差した。

「成程、わらわの結界を破って入ってきたのはその能力か…って…」

姫羅木さんはハッとする。

「待て待てい!わらわのは『神通力』じゃ!魔術ではないぞ!何で通じないのじゃ!」

そんな事、能力を初めて自覚した僕に質問されても困る。

困惑して返答に詰まっていると。

「ええいっ!解せん解せん!きちんと説明せぬか!」

尻尾と獣耳をピコピコ揺らしながら、姫羅木さんは癇癪を起こしてその場で地団太を踏んだ。

「あのぉ…」

ここでまた千春がフォローする。

「神通力も魔術じゃないんかなぁって…『東洋魔術』って言うし…雄大の能力は、洋の東西を問わず魔術を無効化するんじゃあ…?」

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