向日葵の咲く頃に
思わず、たじろぐ。

元々姫羅木さんからは言い知れぬ『力』を感じ取っていたけど、あの『葬送の炎』という奴は、もう桁というなら二桁も三桁も違った。

「我ら天狐は、千年以上の時を経て強い妖力を身につけた狐の姿…妖力は神格化して神通力となり、その神通力は、源である尾に蓄積され、凝縮される」

尾を包み込む葬送の炎が大きく燃え上がる!

「この炎は千年分の神通力を燃やしたもの。本来千年以上も生きられぬ筈の生命が神通力によって生き永らえてきた、その『生命の灯』じゃ」

グルリと真円を描く姫羅木さんの四尾。

その尾の先が全て、僕へと向けられる!

「力加減はなるべくしてやる。無駄な殺生は避けたいからのぅ」

そう言いつつも、姫羅木さんはどこか自信なさげな表情。

何せ姫羅木さん曰く『最大級の神通力』だ。

どんなに手加減をした所で、只の人間でしかない僕がそんな巨大な力に耐えられる筈がない…!

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