大好きなあの人へ

*1



このクラスにも慣れてきたころ、
うちは伊藤のことで頭がいっぱいだった。
加奈のこと...
「伊藤のこと好きなんだ」
その言葉が頭から離れない。

衝撃の言葉だった。
加奈は去年も伊藤と同じクラスで
好きだったらしい。
自分の気持ちに早く気づきたかった。
そうすれば隠し事なんてしなくてすんだのに...

加奈は相変わらず伊藤と楽しそうに話している。
うちは伊藤に一目ぼれしたと気づいてから一度もしゃべれていない。
こんなんじゃダメってわかってても行動に移せないのが短所だ。

放課後の部活になると
伊藤に気づいてもらいたくて
わざといつもより大きい声をだしたり
何かと頑張っていたが効果があったのかは不明。

前期も終わり夏休みに入る前日..
うちはどうしても伊藤のアドが知りたかった。
だから加奈に
「クラスの中でアド知ってる人いたら教えてくんない?」
っていったら
「いいよ帰ったら送る-」
っていってくれたんだっけ。

家についてから加奈のメールを待っていた。
なかなかこなくて次の日になった。
着信音がなって加奈からだと確認したうちは
急いでケータイをひらいた。

------------------------

宛先 大橋 夏実

伊藤のアド↓
itou...@docomo.ne.jp


   島崎 加奈

------------------------

伊藤のアドだ。
嬉しかったなあのとき。

すぐに伊藤にメールした。

------------------------

宛先 伊藤 隆弘


加奈からアド聞いたよ-!
登録よろしくねえっ☆


   大橋 夏実

------------------------


返信はなかった。
すごいショックでなんで返信が来なかったくらいで
落ち込んでいるのか自分でもわからなかった。
こんな気持ちになるってやっぱり好きなんだな..
そんな複雑な思いを
誰にも伝えることができないまま時間はどんどん過ぎてゆく。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop