ねぇ…先生。。
「”獣医になりたい?!
あんたのその頭で…??
呆れてモノも言えないわ…。
ちゃんと自分のこと分かって言ってるわけ?”
なんて意味分からないこと言ってさ…。
あたし、自分が頭悪いことくらい知ってるよ?
でもどうしても獣医になりたいんだ…。
やって見なくちゃ分からない。
それに今さら違う職業も考えろって言う方が無理なんだよね…。」
未来は携帯をパタンと閉じて先生を見つめる。
『ちゃんと親の話、聞いた?』
「へ………??」
『お前は言いたいこと親に言った?
お前は親の言うことちゃんと聞いたか?
ろくに聞かなかったんじゃない?
親っていうものはな?
子どもが可愛くて可愛くて仕方ないんだよ、
藍葉のことが可愛い。
愛おしい…
そう思ってるからこそ、言ってくれてる言葉なんじゃないの?』
先生は未来の目をまっすぐに捕らえる。
未来に言い聞かせるようにゆっくりと話す先生は私なんかよりもずっと大人で、
いろいろなことを経験したんだな、と思った。
「………今日家に帰ったらちゃんと親に伝える。
それで、親の話もちゃんと聞く。」
未来は顔を上げて言った。
『お前が思ってることちゃんと親にぶつけてこい。
大丈夫だから…。
必ず分かってくれるよ。』
先生の”大丈夫”は魔法の言葉。
未来の顔を見るとさっきまで顔に出ていた不安の色が今は自信の色に変わっている。
「じゃあちょっと部活顔だしてくるね!!」
未来はいきなり立ち上がりさっそうと調理室を出て行った。