ねぇ…先生。。





「じゃあ誰なの??」


私は携帯を開いたり閉じたりして気を紛らわす。


元カノのことなんて気にしている、
こんな私がイヤだ…。


『西城が教えてくれたら教えてやるよ。』


食器が擦れ合うカチャカチャという音が調理室に響く。



「先生が教えてくれたら教えてあげる。」


先生の背中を見つめながら言った。


”先生が好き。”

なんて…言えるワケない…。



『それじゃあ目、瞑って。』


言われた通りに目を瞑る。


【カチャッ】


目を瞑ると視覚が奪われ聴覚と嗅覚だけになる。


そのためにいつもいた調理室なのに変にドキドキする。


「せんせ??どうしたの?」


目を瞑ったまま話す。


【コツンコツン】


先生の靴の音が段々近づいてくる。


その音が大きくなるにつれて私の心臓の音も大きくなる。



【ドキッ、ドキッ、ドキッ】



【コツン、コツン、コツン】



私の心臓の音と、先生の靴の音が重なる。





< 52 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop