不器用な恋
『アタシさ…』


アタシは優貴に中学の時の出来事を話した。


付き合っていた彼氏に捨てられて、彼氏はアタシの大親友と浮気していた。



それから学校中の人から、可哀想な目で見られて、耐えられなかった。



そこから、アタシは誰も信じれなくなった。



そいつの事、好きでもなかったのに、アタシは一人で傷ついてた。

アタシは可哀想なんかじゃない。


ずっと、そう思ってきた。


優貴はアタシが話してる間、ずっと黙って聞いてくれた。



『そいつバカだな。由月みたいなイイ女を捨てるなんて。ま、感謝してるけど。』

『…?』
優貴を見上げる。

『そいつと由月が今も付き合ってたら、俺の女になれなかっただろ?』


優貴の一言にアタシは自然と笑みがこぼれた。



『やっと笑った。やっぱ笑った顔が一番にあってる。』


優貴の一言一言にドキドキする。

『アタシがこんな風になったの、それだけじゃなくてさ…―』

アタシは母の話や家族の話をした。

産まれたときから、父親は居なくて、母はいつの間にか、家に帰ってこなくなって……――

そのため年の離れた姉に育てられたこと。

年の離れた姉は仕事で忙しくなって、独り暮らしを始めた頃から、アタシと妹達も家に帰らなくなったこと。


ひたすら話し続けた。




『なんか、ごめん。暗い話ばっかで。』


『別に。俺は由月のこと知れて嬉しいけど?』


『じゃあ、今度は、優貴のこと、教えてよ。』

『俺は別に、隠してることとか、無いし…』




ずっと黙って聞いてくれていた優貴を見ていると、自分の気持ちを抑えきれなかった。



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