不器用な恋

2つの心

足音が聞こえてくる。


優貴かと思ったら、朝抱きつかれた風間愛斗だった。


『やっぱりここにいた!由月ちゃん!』


名前、教えてないのに……


『あれ?覚えてない?俺のこと。』


『…………アンタさ、アタシと同い年?』



『由月ちゃんは高2だよね!俺は高1だから、由月ちゃんは1つ先輩だね。』


『朝さ、噂の人とか言ってたけど何なの?』


『知らない?高1の間で噂になってるんだよ。高2の先輩の中に不良がいるって……』


『興味があったから、アタシに会いに来た。そういうこと?』



『厳密に言うと違う。俺、由月先輩に一目惚れしたんだ。』



『それって、告白?』

『うん。一応。』


優貴と付き合ってるのか、少し迷った。



『ありがと///でも…』


『でも、なに?越谷先輩と付き合ってるとか?』


『え……』


『俺、見ちゃったんだ。越谷先輩と由月先輩がキスしてるところ。』



『それなのになんで告白したの?』



『由月先輩のこと、好きだから。諦めたくなかった。』



『俺じゃ、ダメかな?』


『風間くん、別に…ダメじゃない。』



アタシ完全に心揺れてる。



ガチャ…

屋上のドアが開く。


優貴がパンと飲み物を持って、こっちに歩いてきた。



優貴は冷ややかな視線で風間くんを見る。


『お前、誰?由月になんか用か?』


『後輩の風間愛斗です。由月先輩に告白しに来ました。』


風間くんはイジワルな笑顔で優貴に微笑む。



『由月は俺の女だ。手出さないでくれるかな?風間。』


『さっき由月先輩にお返事を頂きましたから。』

と言うと、風間くんはアタシをゆっくり抱きしめた。


優貴は風間くんをアタシから引き離し、睨んでいる。


『風間、ふざけるなよ。冗談もほどほどにしろ。』


『由月先輩を好きになる権利は自由なはずです。』


『ねぇ、優貴。』


二人の会話を聞いてはいられなかった。


『ん?どうした?由月?』

優貴はいきなり優しい声になった。


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