不器用な恋
『アタシと優貴は付き合ってるの?』


『そういえば、由月からの返事聞いてなかったな。』

『ってことは、由月先輩はまだフリーですね。』


風間くんはアタシに笑いかける。



『ま、相手を選ぶのは由月だしな。』




優貴はアタシの頭を優しく撫でる。


『返事は今度聞かせて?由月先輩?』



風間くんはアタシのことを見ながら優しく微笑む。


『お邪魔しちゃったみたいだし、僕はそろそろ退散するよ。』


風間くんはそう言いながら、アタシの頭を撫でた。


そして、早々と出口に向かい、姿を消した。



『はい、ミルクパンでよかった?』


パンを食わえながら、パンとサイダーを差し出す、優貴。



『あ、うん。ありがと…。』



複雑な気持ちで、なかなかパンが喉を通らない。



キスまでしちゃって、付き合わないなんて、言えないし、どうしよ。。。

アタシは、早々とパンを食べ、空のペットボトルとパンの袋を持って、立ち上がる。

『もう行っちゃうわけ?』


優貴はびっくりした様子でアタシを見上げる。



『優貴、ありがと。』

私は笑うことができなかった。

今、笑えば、優貴のことを好きになってしまう気がして。。。



人を好きになることが、怖かった。


アタシはそのまま屋上を後にした。



教室に戻ると、優貴の追っかけのような女達に囲まれた。



『姫城さん。越谷君とはどういう関係?』


少しおびえたように、声が震えている。


学校中の女子から、怖がられてるアタシに声をかけてるからだろう。


『別に。越谷なんか、興味ない。アンタら、好きなら、どうぞご勝手に。』




女子達の間を強引に通り抜ける。





自分の席につこうとしたとき。。。
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