不器用な恋
ガチャ。






屋上のドアを開けると、涼しい風が吹き抜けた。





誰も居なくて、静まり返っていた。





身体中の激痛が頂点に達した。


アタシは柵にもたれ掛かりながら、座り込んだ。





相変わらず頭はクラクラしている。




立ち上がることもできないくらいの激痛と頭痛。



ガチャ。




屋上のドアが開く。



そこには優貴がいた。




『………由月?』





その声は今すぐ、消えそうなくらいに、弱かった。





『由月?大丈夫か?』


優貴が駆け寄ってくる。

優貴はアタシの身体中を見る。


『どうしたんだよ!?』





『ケンカ。』




アタシは吐き捨てるようにいった。






『そんなアタシをまだ女子って言うわけ?』


アタシはキツい眼差しで優貴を見た。




『ケンカしようが関係ない。俺には強がってる弱い女子にしか見えない。』

優貴はアタシを抱きしめた。



アタシは優貴のことを精一杯押し返したけど、優貴はアタシを離さなかった。


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