不器用な恋
ガチャ。




保健室のドアが開いた。



仕切りのカーテンであまり見えない。






シャッ!



カーテンが勢いよく開く。



『由月先輩!大丈夫ですか?階段から落ちたって……………越谷先輩?』


風間愛斗だった。



優貴は風間くんを見た途端、険しい顔に変わる。




『風間。。。』





『もしかして、俺、邪魔しちゃった?』



『別に。なにもしてなかったし。風間は何か用?』


アタシは勢いをつけて言ってしまって、風間と呼び捨てにしてしまった。





『由月先輩を心配してきたんだよ。風間じゃなくて、愛斗でいいよ?由月先輩?』




いつもイタズラな笑顔で笑っている、愛斗はそこにはいなかった。


優しい笑顔で笑う、愛斗がそこにはいた。




そんな愛斗を睨んでいる優貴の姿が隣にあった。





『愛斗、ありがと。アタシ、早退するから。あと、越谷?運んでくれてありがと。あと…ごめん。じゃ、アタシもういく。』



アタシは保健室を出ようとすると、愛斗の声がした。

『由月先輩!俺、送ってきます!』


愛斗は恥ずかしいのか顔を赤らめて少し震えている。


『……うん。……フラフラしてるし、お願い。』




『マジですか!?由月先輩はここで待っててください。鞄取ってきます。』


愛斗はすごい速さで保健室を飛び出した。

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