不器用な恋
すれ違い
あー…。
うん。なんて言わなきゃよかった。
優貴と二人きりじゃん。
『由月。俺のこと、拒否っといて、風間はいいのかよ。最近の由月、訳わかんねぇ。俺のこと、嫌い?』
優貴の寂しそうな顔が忘れられない。
『嫌いじゃない。』
アタシは保健室を出た。
まるで優貴から、逃げるように。
『由月先輩?どうしたんすか?越谷先輩と何かあったんすか?』
出たすぐには愛斗が立っていた。
『いいから。愛斗、行こ?』
アタシは愛斗の手を握って、歩き出した。
愛斗はあたふたとびっくりしていた。
みるみるうちに愛斗の手が熱くなっていく。
『由月先輩!待って!』
校門を出た辺りで、愛斗は立ち止まった。