不器用な恋
校門を出ると、優貴の最後の言葉がよみがえった。

女子だろ!なんて、はじめて言われた。

昔から、強がりで、負けず嫌いだった。



彼氏なんか、できるはずないって思ってたけど、中2の時に告白されて以来、いろんな男から告白されて何度か付き合った。

ある男には裏切られた。

高校に入ってからは、告白はされたけど、彼氏まではいかなかった。

そして今高2の現在まで、彼氏はいない。



高1のときは、ケンカに明け暮れてた。



ケンカがすべてだった。


他校の奴らとつるんでた。


それは今も変わらない。



学校を出た後、街をブラブラしていると、小学校の時から仲良かった、瀬戸夕姫奈に会った。
彼女も、アタシと同じ。



『由月〜!久しぶり!制服ってことは、高校行ってるんだ。偉いね。』

夕姫奈は高校を高1の最後で中退した。

単にかったるくなったっていうのが、理由で。


夕姫奈は、高校を中退した時に、両親にもうお前はうちの娘じゃないと言われて、家を追い出されて、今は一人暮らし。

親とは絶縁状態らしい。


『由月さぁ、この服どうかな?かわいくない?』とくるんと回る夕姫奈。


『それ、バイト代?』と呆れた顔で聞く。



『もちろん。てか、今は本業、キャバ嬢だから。』と夕姫奈は当たり前のように口にする。



『キャバ嬢。って、え?』

ビックリした。夕姫奈はそーゆうのが一番嫌いだったのに。



『由月〜!大丈夫?ボーッとしちゃって。由月もやらない?結構稼げるし。』
と夕姫奈はニッコリ笑う。


『アタシはパス。キャバ嬢の他にもバイトやってるんだ。』
苦笑いするしか、なかった。


『コンビニと雑貨屋さんの店員。いろいろやらないと、生活苦しいんで!』

笑いながら、言っていたけれど、少し無理しているようにも見えた。

そんな無理しても、夕姫奈の目の下には大きなくまがあった。


『夕姫奈、久しぶりにウチん家来る?』

ボロボロの夕姫奈を放ってはおけなかった。




『…。由月ありがと。今日はバイトないから、今日だけ。』
夕姫奈の顔には余裕がなかった。今にも泣きそうで。

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