不器用な恋
*愛斗side*



由月先輩が屋上から出ていったあと、越谷先輩も無言で屋上を出ていった。




〜〜♪♪



ディスプレイには春樹の文字。


春樹は幼なじみで、能瀬大学病院の跡取り息子。







『春樹?電話なんか珍しいね。』


「おい!お前の彼女、名前は!?」


『由月先輩のこと?』



「姫城由月だよな!?」



『ああ。で?』




「その子とその子の友達が、成蘭学園っていう、ヤンキーの女子校的な子達とケンカしてて、大ケガ負ったらしくて………」



『え?』



「今、俺ん家の病院に運ばれたって………」


俺は一瞬で頭が真っ白になった。




『春樹、冗談だろ……?』


「マジ。今、お前の学校の前。早く来い。大切な人なんだろ?」



『わかった。』




自分でもビックリするくらいの速さで階段を駈けおり、廊下を走った。



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