不器用な恋
窓越しに見える、由月先輩の寝顔はとても綺麗だった。
『由月先輩、綺麗だな…………』
静かな廊下から、走っている足音が聞こえる。
段々こっちに近づいてきた。
『風間!ハァ、ハァ………由月は?』
そこには息を切らした、越谷先輩の姿があった。
『越谷先輩?あっ、由月先輩はここのICUです。』
『はぁ、なんで俺…もっと早く…………風間、由月の状態聞いたか?』
『いえ、聞いてません。越谷先輩、なんで、由月先輩が入院したって………』
『由月のケンカ相手の戸崎夏海から、聞いた。』
『知り合いなんですか?』
俺は少しキレ気味に言った。
『あぁ。昔、戸崎から逆ナンされて、連絡先だけ知ってるだけ。昔はあんな荒れてなかったけど。アイツから電話きたんだよ。なんか、声震えててさ。ケンカ相手の由月って子を殺しちゃったかもしれないって………由月って聞いて、マジ焦った。片っ端から病院まわってきた。』