不器用な恋
『ホントに由月先輩のこと、好きなんですね。でも、俺の方が好きですから。』
俺は越谷先輩に微笑む。
『へぇ。マジか。でも、由月はさ、お前じゃなくて、俺を選ぶよ?きっと。』
越谷先輩はイタズラに笑った。
すると、ICUの自動ドアが開いた。
『姫城さんの御親族の方ですか?』
若い女の看護師が俺らを見る。
『『いや………違います。』』
越谷先輩とハモった。
『では、面会の方ですか?』
『え?面会できるんですか?』
俺は看護師に聞く
『ええ。姫城由月さん、本人が許可していますので。つい先ほど目を覚まして………』
『会えるんですか?』
『はい。こちらに書名を。』
俺は殴り書きのように自分の名前を書いた。