不器用な恋

きっと好き。

結局、一睡も出来ずに朝をむかえてしまった。



ベットから出ると隣には夕姫奈が寝ていた。

手早くシャワーを浴びて、夕姫奈を起こさないように、そっと制服に着替えた。


洗面台にいき、洗面を素早く済ませ、部屋に戻ると夕姫奈は着替えて髪のセットをしていた。


『あっ、おはよー。』
まだ眠そうな夕姫奈が髪を巻きながら言う。


『朝ごはん、できてるっぽいから、終わったら、下りてきて。』
と言って、アタシはスクバを持ち、一階に下りた。

クロワッサンにスクランブルエッグ、シーザーサラダにベーコン…とアタシの好きなものばかりが並んでいた。

母は牛乳の入ったグラスを持ってテーブルに置く。


『おはよう。由月ちゃん。』

母は笑顔でアタシに話しかける。



『いただきます。』

そう一言、言うとアタシは黙々と食べ始めた。

今日は珍しく母は居る。

たぶん夕姫奈が居るからだ。

アタシがちょうど食べ終わり家を出ようとしたときに、夕姫奈は下りてきた。


『おばさん、すいません。時間かかっちゃって。』
夕姫奈は申し訳なさそうに席につく。



そんな夕姫奈にアタシは
『夕姫奈、アタシ行くから。好きな時間に帰って。』と言う。


夕姫奈は
『りょーかい。でも、長居するわけにはいかないし。早めに帰るよ。ありがとう。』
笑顔で言う。


アタシは玄関を出ると、すぐにウォークマンを取り出して、イヤホンを耳に入れる。


お気に入りの洋楽のボックスを開き、聴き馴れた曲が流れる。


そのまま学校に向かった。

ガッツリ遅刻だった。


すぐさま教室ではなく、屋上に向かう。

うちの学校は立ち入り禁止ではないが、ほとんど人の出入りがない。

その理由の1つがアタシだ。

勢いよくドアを開けると、綺麗な青空が広がる。

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