不器用な恋
越谷先輩も乱暴に名前を書き、ICUに入った。



由月は俺達が入ってきても、ボーッと遠くを眺めているようだった。



『由月先輩?』


俺は由月先輩を見つめる。



由月先輩は何も言わず、俺を見た。


『由月先輩?』


何度、呼び掛けても由月先輩は俺らを見るだけだった。





『姫城さんはね、脳にダメージが大きくて、しばらく喋れない。』


ドアには白衣を着た若い男が立っていた。


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