不器用な恋

アタシが来たくらいで、優貴は満面の笑みを浮かべて、立ち上がる。

クラスの女子の視線が痛いほどわかった。

一瞬で優貴の顔が変わり、真剣な眼差しに変わる。

『由月、なんかあったのか？』


アタシは屋上で風間愛斗に抱きつかれた事で、少し動揺していた。
アタシの様子が変なのを察したのか、優貴が心配そうな顔で、覗きこんできた。



『べっ、別に////』

すぐに目をそらす。



これじゃあ、動揺してるの丸出し。



優貴はとっさに腕を掴み、屋上まで走った。




『何？どうしたの？』


息切れしながら、優貴を見上げる。


『なんか様子が変だったからさ。何かあったのかと思って、、、いや、特に意味はねえけど。』

優貴はアタシと目をあわせないようにずっと息切れしながら下を向いている。



『なにそれ。意味ないのに、屋上までつれてきたってわけ？』


アタシは、内心嬉しかったのに、思ってもないことを言ってしまった。



『お前が不安そうな顔してるから、わざわざ連れ出したんだけど？』

いきなり優貴は強気になり、アタシは壁に寄りかかる。


優貴は腕を壁につく。



自分でもわかるくらい、ドキドキしている。

身体中が一気に熱くなる。

『へぇー。可愛いとこもあんじゃん。』



そんな一言にドキッとしてしまった自分が悔しかった。


『優貴こそ、生粋の二重人格じゃん。』



『イイ子ぶるの、めんどくさくなった。それに、お前には素の俺を知ってほしい。』



甘くかすれた声にドキッとした。


ちょっと意地悪な瞳で見る、優貴に少し腹がたった。


まるでアタシが優貴に遊ばれてるみたい///



『友情ごっこも恋愛ごっこも興味ない。昨日言ったばっか。もう覚えてないの？』



『俺じゃ、ダメ？』


いきなり幼い子供のように甘えた顔になる。



優貴はいったい何重人格なんだか、、、



『優貴だからとか、そーいうことじゃなくて、誰にたいしても友情ごっことか恋愛ごっこしたくないってこと。』