ありがとう
どうやらあのまま座り込んで寝てしまっていたらしい。
2時間ほど歩き続けたあとに長い間ボーっと考え事をしていたので無理もなかった。
この計画の上で最も恐れるべきは、食料や寝床の心配などではなく、何よりも母親に連れ戻されてしまうことにあった。
例え母親が見付けられなくても、何日も戻らなければいずれ捜索願も出される。
そんなのは容易に想像できた。
焦りながらずり落ちたリュックサックを背負い直すと、野原と言った方が的確かもしれない人気のない荒れ果てた公園を足早に立ち去った。
背中には見慣れた街並みが広がっていた。