ありがとう

家を出たのは家族が寝静まった23時12分。

元々ある程度の時間は決めていたが、状況に応じて変えるつもりだった。

しかしほとんど計画通りだった。

ありったけの飲食物と使えそうな物を無理やり投げ込んだリュックサックを背負うと、何とか握れるようになったドアノブに恐る恐る手を置くと同時に、不安を吹き飛ばすように勢いよく押し開けた。
< 4 / 244 >

この作品をシェア

pagetop