ありがとう

それは小学校と中学校のときに使っていた通学路の横路だった。と言っても、今現在に使われているか疑わしいほどの代物だ。

以前は気付きもしなかったのに、今こうしていることで視点が変わったからなのだろうか。

言い知れぬ衝撃が走った。毎日に嫌気が差していた彼にとってはあまりにも新鮮だった。

胸の鼓動が高まるのと同時に僅かに背筋が震えた。

彼は迷わずその道へと体を向けた。
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