アイシング、マイラブソング
【序 章】プロローグ
もう何度目だろうか、
電車を見送るのは。
駅の構内は
人混みに溢れる平日の朝とはまた違った雰囲気があった。
午前9時。
細々と営業するキオスクや
ぽつぽつ点在する人々がちょうど良い。
僕はペンキの剥がれかけたベンチに腰掛け、
ひとり考えていた。
―これで、いいんだよな…
そう自分に言い聞かせるうち、
ふと仰いだ青い空にぽっかりと浮かぶ顔があった。
まだ幼さの残る、
15歳の千架の笑顔…
ここからすべてが始まった―。