アイシング、マイラブソング


12月25日、正午。

千架は家族水入らずの旅行を楽しんでいる頃だろう。


僕は、

ちょうど目を覚ました時だった。


―う~、さぶい…


まだ寝ぼけまなこ。

毛布にぐるぐる巻きになって暖をとる。


すると、姉がずかずかと部屋に入ってきた。


「ゆーう、いつまで寝てんの?!」


―あ~、うるせぇ…


無論、寝たフリ続行。



「彼女来てるよ」



「ウッ、ウソ?!」


姉の耳を疑う一言に釣られ、ついガバッと飛び起きた。



「ウソですけど?あんた彼女いるの?まさかいるワケないよねぇ~!!あはは」


―ハメられた!


千架は旅行中なんだし。
ウチの家族と面識ないのに、いきなり来るなんて考えられないし。


完全に僕が浅はかだった。

寝起きを狙う姉も卑怯だが。
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